2013年7月27日土曜日

Dazzle Drums Interview - 2013 Summer Edition !!

STRADA RECORDSエクスクルーシヴでリリースされ大好評を得たリエディットCD「NK RMX6」、「NK RMX7」、「NK RMX AFRO1」に続く新作3タイトル「NK RMX8」、「NK RMX9」、そして「NK RMX CLASSICS1」が7月末に再びSTRADA RECORDSエクスクルーシヴでリリースされます!


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前回のCDリリース時にもインタビューを行いましたが、今回も彼らの近況など最新事情も交え、色々とお話を聞いてみました。


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●前回のインタビューがかなり好評で、当店のブログの累計観覧者数もダントツで一位です。音楽は聴いてナンボ、とは言いますが、個人的にはある程度語ったりしなければ伝わらない、繋がらない、とも思います。(このインタビューもその一環だったりします。)その点Dazzle Drumsはブログやツイッター、あとライナーなどの執筆活動もされていますが、そのあたりはやはり心掛けて行ってるのでしょうか?特にブログ更新はかなりシンドイ作業かと思いますが。。。

Nagi :

 ブログを書き始めた最初の動機は、プロモーションという部分と、あとは、自分達の世代以降、良い意味でDJを教えてくれる「先輩/後輩の関係」がばっさり途絶えてしまっているなと感じたからなんですよね。例えば、過去のクラブシーンのことを語ってくれるキャリアの長い年上の方はいても、音楽の本質的なことや技術的なこと含め、直接若い人に教えてくれる先輩的役割をしてくれている方が、随分減ってしまったように思います。Ureiについて、ゲインとマスターのバランスでどう出音が変わるかを、私はNoriさんから実際に聴かせてもらって教わりましたが、そういうコミュニケーションが出来ている先輩後輩の関係がいま日本にどれだけ残っているのだろう? と。これは、音そのものだけではなくパーティについても言えて、皆が居心地よい空間にするにはどうしたら良いか、全く知らないお客さんに対しての姿勢とかも、私はNoriさんやFukubaさんを見て学びました。Danny Krivitも勿論大きいです。ダニーが何気ない会話の中で「誰々はパーティには大事な人間で、」ってぽろっと言ったことから、ダニーのパーティに対しての考え方を垣間見えたりするんです。 〈718sessions〉がNYCで成功してるのは色々な流れもあるかもしれないけれど、ダニーがDJだけではなくパーティのプロフェッショナルでもあるという事も、大きいと私は思っています。私は随分幸運な環境で育って、いま挙げた方々以外にも多くの先輩から色んなことを教えていただいた。そういう情報を必要としている人が日本の何処かに居る筈で、そういう方に伝えられる手段が、ブログやSNS、なんですよね。
 あと、新譜流通の中心がレコードからデジタル配信に移行してから、日本のシーンで新譜の普及率が一気に下がったのも、ブログやSNSを続ける理由です。レコード世代のDJからしたら、音質も解らないような英語の配信サイトで、レコード屋さんのような親切なガイドラインも無い大量の新譜のなかから、自分の好みのものを探すのって、相当大変なことです。勿論、本気なら出来る、のかもしれないけれど、基本音楽って「心が震えるかどうか」だから、アナログの音質で自分の音楽を追究していたひとが、配信サイトで聴いた音楽では感動出来ないっていうのも、確かに理解出来るんです。けれども、例えば〈Body&SOUL〉が日本で開催されて、NYで大ヒットしている配信の新譜をDJがプレイしたときに、日本のリスナーが全然その曲を知らないっていう状況を目の当たりにして、これはちょっとまずいんじゃないか、って危機感を覚えたんですよね。最近はディープハウス/ソウルフルなハウスもアナログでのリリースが増えてきましたが、それでもやっぱり配信の方が断然リリース量は多いし、選択の幅も広い。いま、ケイ君がいつもJuno RecordsやTraxsourceでチェックした曲をTwitterやFacebookで紹介しているのは、新譜チェックしたくてもどこから手を付けていいか解らない、っていう方に、アナログ派も配信派もどんどん活用して貰えたら、っていう気持ちがあるんですよね。
 ここ最近の20代のDJの皆さんは配信をチェックするのが当たり前だから、以前よりも配信の新譜が現場で掛かるようにはなりました。けれども、そんな若い方々とアナログでプレイしてきた上の世代が繋がって情報交換出来るコミュニティがあれば良いのですが、上の世代とアナログ好きの若い方との「アナログを中心とした交流や情報伝達」はあっても、新譜もレコード屋さんで探すので、配信のみの曲だと幾らヒットしてる素晴らしい曲でもなかなか広まらない。そして配信サイトでの新譜チェックが習慣になっている若い方については、上の世代との交流がほとんど無かったりして、大定番以外のダンス / ハウスクラシックスの情報があまり伝わっていないな、っていうのも感じます。なので、新譜だけでなくそういった昔の良い曲を、マニアックなものだけでなく幅広くブログで紹介するようにもしています。
 正直、先輩後輩のいい感じのコミュニティが地方含めて確立していて、日本のハウスは今後も安泰、という状態だったら、こんな風に丁寧にブログ書いたりしなかったでしょうね。勿論、自分達自身のプロモーションのためのブログやSNSでもありますし、宣伝は積極的に行いますが、宣伝用に特化してそういったツールを戦略的に使うのも、自分としては、なんか気持ちよくないんですよね。

Kei : 
 冨田さんには、またこうやって機会を設けて下さって嬉しいですし、Nagiには本当にプロモーションで苦労しているから頭が上がらないです。先日も友達にKeiくんもちゃんとやりなさいって本気で怒られました。少しでも音を作りたいので中々出来ないですけど。やっぱり音楽だけでシンプルに挑むっていっても大変な世界ですから。。言葉は難しくすぐ誤解されてしまいますし。嫉妬とか勿論ある世界だから、本当に人それぞれ受け取り方も千差万別ですし。
 StradaさんのセレクトをWebでいつもチェックするのも楽しみです。バイヤーさんのセレクトって、好みやビジネスもありますけど、DJに通ずる部分もあるのかなって思います。10年位前にレコード屋さんでハウスバイヤーを経験させて貰ったんですけど、その当時は情報が少なく、コメントが重要でした。大物DJプレイって書くのが好きじゃなかったんですけど、お客さんにとって一つの基準となるので、売れ行きがだいぶ違いました。例えば、思いっきり渋いヨーロッパ産のテクノだけど、NYの大物DJがプレイってポップを張っただけで動きが違いました。それまで、やっぱ黒い歌モノでしょって言う方々が見向きもしなかったのに。。。その点、ダウンロードの世界はフラットですけどリリース量が膨大ですね。ファンにとっては、DJによるFeedbackやチャートがたよりだったりしますが、情報が多すぎて大変です。本当は、NKRMXシリーズだって全部アナログでリリースしたいんです。けれど、有名なネタだったり大物DJプレイでないとリリース出来ない現状です。売り上げも少ないですし、先輩や友達にプロモ頂戴って言われても自費で渡すとか、けっこうシビアなんです。よっぽど好きでないと続けられない世界ですね。簡単にはアナログは出せない。だからレコードリリースは自分達にとってスペシャルだし、いつもこれが最後だって思っています。
 僕自身も音楽は聴いて感じてナンボって思っているんですけど、ネット社会でより情報を簡単に得られるようになってしまって、体験がする人が減って寂しいと感じています。情報だけで終わってしまっている人達がかわいそう。もうそれこそ、ダンスフロアでひたすら踊って肌で感じた感覚で十分だと思うんですけど。知らない曲があってもShazamで検索じゃなくて、DJとコミニケーションするドキドキ感とか。







●目まぐるしく変化するクラブ・シーンですが、前回の「NK RMX」CDをリリースした時には健在だった西麻布のelevenが今はもうありません。elevenで幾度となくDJされたお二人ですが、最初にelevenメイン・フロアのデッキに立ったとき、そして最後となるクロージング・パーティーでDJしたときのエピソード等、その他elevenについて思うことがあったらお聞かせ下さい。




Nagi :
 elevenという箱の何が特別だったかというと、まず、スタッフがそれぞれ個性があって、そして、もう毎回の営業を目一杯楽しんでるんですよね。週末は朝になったら男性スタッフが皆脱ぎ始めたり、すごく生き生きしてる。例えば、クラブによっては、「バイトしにきてます」みたいなスタッフが、パーティが長くなると、早く終わらないかなあ、なんて顔でチラチラDJブースを横目で見たりとか、あるじゃないですか。そういうの、私は殆ど感じたことがないですね。クラブって、基本、楽しむ場所で、楽しませる場所ですよね。だから、スタッフが楽しそうにしているって、すごく重要なんですよ。あと、ブースのスタッフの意識も高い。ソウルフルなDJセットで重要な中域の音が、私達が最初にelevenでやらせて頂いたときに比べて、回を重ねるに連れ、どんどん伸びやかに出るようになってきたんです。自分達の出したい音、を理解してくださって、変えてきてくれたのが、すごく嬉しかった。あんなにDJに集中できるブースは、なかなかないですよ。ブースの広さもちょうど良くて。自分達も、最初にあそこでプレイしてから、何度も経験させていただき、随分成長させてもらったと思っています。
 クロージング・パーティは2日間で、その1日目に私達はJoe ClaussellさんやEMMAさんと一緒にメインフロアでプレイさせて頂きました。JoeさんとEMMAさんは初対面だったけれど、お互い笑顔で抱き合ったりして、本当に終始暖かく、お互いをリスペクトし合う空気の中でパーティが進んでいきました。上のフロアも、Stereocitiさんがureiを持ち込んだりして、とても一体感がありました。お客さんも、DJも、皆がelevenを大切に思っていて、それで一つに繋がっていた。この日のエピソードはブログに書いたので、良かったら読んでいただけたら嬉しいです。 http://common.dazzledrums.com/?day=20130529




Kei :
 この性格だから、まず自分から音楽以外でアピールする事なかったのでDJだとは思われてなくて、よく踊っているやつだなあって思われていたみたいで、それこそYellowがオープンした頃位から。10代だから本当はいけないんですけど、忍び込んで踊ってました。パーティやるのはどこでもそれぞれ良さがあると思っているんですけど、やっぱりあの場所で踊った回数も多いし思い出も沢山ありましたし、少しでも力になりたいって思っていました。ここ数年、あんなに楽しく踊っていた人達が来なくなったり、若い子たちが遊ばなくなったりして、シビアな状況になってきてから、個性的なお客さんとスタッフがパーティを作り込む気持ちとあれこれシンクロして、先輩や友達、スタッフの後押しもあって自分達なりにお手伝い出来て、これからっていう時にクロージングだったのでとても悔しかったです。オープニングDJが多かったですが、体験させて貰ってとても嬉しかったです。恩返ししないと。









●クラブ・シーンを世界的に見るとかつてNY主導だったのが今はヨーロッパ諸国の方が圧倒的に元気な感じです。アーティストにしても例えばIbadanのJerome Sydenhamがベルリンに移住しオーガニックな路線からテクノにシフトしたり、Jeromeと同じくNY出身のOsunladeはギリシャに移住しDixonやAmeのInnervisionsからリリースされたりもしていますがこのあたりのシーンの変化やアーティストの変化についてどう思われますか?

Nagi :
US主導からヨーロッパ主体のシーンに変化したなと最初に感じたときは、正直USにこだわりもあったので感傷的になったり色々思う所もあったのですが、いまは、南アフリカ含め様々な国からソウルフルなハウスがリリースされるようになってきたのは、逆に良いことだな、とは思います。それに、テクノのレーベルからリリースされている曲が、全然、ハウスじゃん、って思うものもいま多いですよね。だから、ソウルフルなハウスを身上とするクリエイターがテクノ的なアプローチをもっと積極的にやってもいいし、むしろいま新譜を追いかけてるクリエイターにとっては、その方が断然現場とリンクしていて面白いと思うんですよね。

Kei :
 NYCがルーツの僕にとっては、勢いがないのが寂しいですけど、もう今となっては、場所は関係ないと思います。ハウスは色々な人と音がシンクロしているから面白いし、ひとつにこだわっていてもつまらなくなるし。90年代にJohn DigweedがピックアップしそうなディープなトラックをオープニングDJでプレイして、先輩に怒られる位、自分はわりと昔から色々好きな方です。プレイの仕方がまずかったのかもしれないですけど。現状、確かにヨーロッパの方が活発なので魅力的に見えますけど、皆さんも自分の好きなスタイルはどこの音をピックアップしても中々変わらないのではないでしょうか。お金があればその時々、居心地のよい旬な海外で住んで活動するのも素晴らしいと思うのですが、レギュラーパーティをやっているとやっぱり大切な仲間とお客さんを放ってはおけないってなります。もう何々が流行っているからいいよねとかじゃなくて、自分達で作っていけたら良いなって思っています。









●EMMAさんのアシッド・ハウスに特化したコンピレーションCD「ACID CITY」にDazzle Drumsの楽曲が収録されていますが、このオファーがくる前までは正直アシッド・ハウスってお好きでした?


Nagi :
私は、DJ PierreのWild Pitchものは実は大好きです。いまでもプレイします。だから、自分のなかではアシッド・ハウスって=DJ Pierre、みたいな所はあります。TB-303が、というより、DJ Pierre。笑

Kei :
 確かに僕達のイメージではないですよね。色々持っていてもプレイするタイミングがまだ作れていない。理想毎週8時間どころか12時間位プレイ出来たらピークかアフターに持っていきたいって思うんですけど。DJ Pierreは昔からやばいし、乾いていてストレートな音でジワジワくるマッドネスは、フロアで踊らないとよさが中々分からないですね。シカゴハウスとかだとTyreeの”Acid Crash”がカッコいいし、数年前だとPete Hellerが作った”Nu Acid”がただの焼き直しではなくて今の感じが出ていて好きです。EMMAさんに今回機会を作って頂いて、正直、ここまで形が進むなんて思っていなかったです。頭が上がらないです。

Nagi : 
 そうそう、5月にDJで関西に少し滞在した最終日の夜、EMMAさんから「CDの内ジャケ用に普通のアー写っぽくない写真を下さい」って言われて、(一緒にTony Recordsからリリースした)Masahiro Onishi君につきあってもらって色々撮影したんです。大福をみよーんってのばして食べたり、壹錢洋食とか行って、色んなポーズで撮影して。その後も、もっと送ってと言われて、地元でまた撮影。キッズコーナーで頑張ったりして。結局、私は京都のゲーセンの一枚、ケイ君は某ヨーカドー地下駐車場の一枚が採用されました。購入してくださった方は、内側のジャケにも注目していただけたら嬉しいです。




●ここ最近はDJ機材や曲が手に入れ易くなったり、パーティーもお金等の条件さえクリアすれば誰でもそれなりのハコで開催できるようになったりしています。その反面、素人同然の人達がとんでもない選曲やテクニックで立派なハコでプレイする、というようなことも多々見受けられますがそういった現在の状況について、パーティーやDJに強い信念を持つDazzle Drumsのお二人はどう思われますか?

Nagi :
もし、集客が出来るけれどもDJがまだまだ音楽的に未熟だな、と感じる後輩が大箱でDJすることになって、そのプレイ自体を聴いた上で未熟だと感じたときには、「ブースに立つことは責任を伴うことなのだから、もっときちんとDJしないとね」と言う時もあります。でも、それを言うのって責任を伴うことだから、どうでもいいと思う相手には言いません。音楽的な差、というのは、きちんと聴けば解るはずなのですが、おそらくクラブに来ている多くの人がその差を認識していないのが、この現状を作った一番大きな要因ではと思います。有名DJ/クリエイターだから、DJが巧いとは限らないのに、「名前が売れている人は巧い」というのが聴き手の大前提にあるのも問題で、本当は余り楽しくなくても、「これがカッコいいDJなのか」と先入観で判断して、自分の感性をごまかしているひとは多い。「何がカッコいいか」を聴き手が判断出来るようになれば、「コミュニケーションが得意でも音楽的には巧くないDJ」つまり集客が得意でブースに立てているDJに対しても、聴き手が正当なジャッジが出来るようになります。そうなれば、そういった集客が主体のDJは、最初は集客出来ても、続きません。ジャンルとかスタイルとか、巧い下手の判断において色々な言い訳があるかもしれません。けれども、巧いDJはそういったスタイルの差異を越えて、人の心を震わせることが出来ます。結局DJとして目指すところはそこですよね。

Kei :
 だれでもチャンスがあるのは良い事でもあるけど、その分、職人的な所で敷居が下がってしまっているのは感じる時はあります。DJがですよ、ヘッドフォンしてミックスしている時や集中して選曲している時に話しかけてくるとか、次のDJの為に選曲や流れとかセッテンングをやりやすいようにしないとか、人がプレイしている曲のフェーダーやEQを断りもなしに触るとか、山ほどあるんですけど、誤解されるので今の所、僕にとって大切な人だけ、細かくて繊細な事は言うようにしています。僕は先輩から教えて頂いた時はいきなり訳も分からず怒られました。でも何でなんだろう?って。毎回現場で必死になって良い所を見て体で覚えて少しでも盗んで自分で消化して自分のスタイルを作ろうって。今はアドバイスのつもりで言ったことが、怒られたと思われてしまうことも多くて、寂しいですね。勿論言い方も大切ですけど。結局、メジャーでもマイナーでも人想いじゃないと続かないような気がします。バックトゥバックも今は当たり前のようにありますが、普通は直ぐには出来ないはずです。何年も一緒に居てやっと分かっていても、ミーティングが必要だし、今度はこうしようあうしようとか。〈Body & SOUL〉の三人の背中を見せて頂いてそれはいつも改めて思います。楽器のプレイヤーとかとまた違って、一般の人からみたらただ曲を繋いでいると見られますよね。何でその曲をセレクトしたとか、流れとかフロアとの一体感とか、音の強弱とか中々細かい所まで気付いている方々は少ないかもしれません。ああ、ここまで言っちゃうと自分達のハードルを上げる事になりますが。笑

Nagi :
 バックトゥバックって、私達みたいに一緒に住んで同じ音楽を聴いていても、本当に難しいんですよ。でも、例えば「タイムテーブル上1時間余ったね、じゃあ公平にBtoB」とか、「ここから朝までBtoB」とか、最近よくありますよね。DJ同士のお互いへの優しさかもしれないけれど、厳しいことを言うと、聴き手にとって面白くないのなら「遊び」になっちゃうんですよね。本気のクリエイト魂で臨まないのなら、お客さんも楽しめるくらいの適度な時間の長さでまとめた方が良いと思います。





●只今空前のリエディット・ブームです。数多くのリエディットを手掛けているDazzle Drumsにとってずばり「リエディット」とは?

Kei :
 もうちょっとイントロ長かったらよいのになとか、DJ中に思いついた事が多いです。あとは個性を出していく事でしょうか。人とは違ったプレイをする、人とは違うヴァージョンを作る。そうした中で好きなDJに自分達のエディットをプレイして貰えたらもうそれは嬉しいです。
 数年前に友達が誘ってくれた仕事で、六本木ヒルズのレストランで、毎週金曜夜一人で8時間プレイさせて貰えたんです。レストランだから会話しやすいようにジャズとかラテンとかR&Bとかダンスクラシックがベターかなって思ったんですけど、ハウスで盛り上げてお客さんを回転させてってお店から言われて。そんなきっかけで生まれたのがNKRMXでした。当時、多くのクリエイターがブートレッグでリリースしていたイケイケのヒット曲をディープに聴かせるR&Bハウスの流れですね。場所柄、少し洋楽を聴く観光客の方や外資系ワーカホリックな方々が楽しく飲んでいたので、踊るというよりも雰囲気重視でした。Talking Headsの”Once In A Lifetime”とかリリックで受けが良くて、若い人だとTimberland関連、Beyonce、Rihanna、Michael Jackson等が好きな人が多くて、少しでも喜んで貰えるのが嬉しかったです。今回リリースしたFleetwood Macの”Dreams”もよく掛けてたのですが、Danny Krivitと一緒に神保町のレコード屋巡りした時に、これは定番で最高だぞって教えて貰った曲なんです。実際にお店でプレイしたらリリックで受けが良くて、それでオリジナルからロングエディット作って、ロングエディットからリミックスへと現場で試行錯誤しながら作ってきました。震災後、その場所でDJする機会が無くなってしまって残念でしたけど、あまり普段音楽を聴かない人達の前で7年間もやらせて貰えたのは自分にとって結構大きな経験でした。

Nagi : 
 エディットって、現場で掛けるための「一工夫」ですよね。料理みたいだ、って思います。とくに、そのままじゃちょっと掛けれないけど、この部分はすごくいい、という曲は、なんか、ゴーヤみたいですよね。種を取って、スライスして、塩水にさらして、仕上げたら、その苦みがすごく美味しくなる。そういえば、昔DJのHiroさんが、「DJは寿司職人だ。その時期に最高のネタを見極めて提供する、そこに美学があるんだ」的なことを仰ってた思い出があります。最高の曲を、その持ち味を活かして、そのままプレイする、という考えも、いいですよね。好きです。








●90'sハウスもかなりブームです。90'sハウスについて何かお話を聞かせてください。


Kei :
 確かに〈Local Talk〉とか色々なレーベルでその辺の音がリリースされていて、ベテランプロデューサーのMKやMurk Boysの新作も面白いですよね。当時の音に似せているものや、今の解釈でまた違った新しい音にしているものと両方とも好きです。ただチャートとかの流れを見ていると、音の作りとか一辺倒だと逆につまらなくなってしまいますね。ハウスはなんでもあるから面白いのに。5年前にオルガンベースバリバリの90’sハウス風にリミックスを作ったら古臭いと却下されてしまった事もあります。90年代当時買っていたレコードを今どのタイミングでセットに組み込むかが結構楽しかったりします。レコード売らなくて良かったです。本当に。

Nagi : 
 90年代ハウスっぽい新譜と平行して、当時の良い曲も積極的に掛けていこうと思っています。新譜と当時の曲とを同じ立ち位置で並べて、その上で、昔のものの方が断然カッコ良かったりもしますし、両方掛けれることが、90年代にリアルタイムでハウスに夢中になっていた自分達の持ち味なのでは、と思うんです。それに、あの時代の音、アナログのもっさりした感じ、あの箱の鳴り、大胆な低音は、いまの新譜にはないものですしね。










●以前まで青山のLOOPで開催されていたパーティー「Block Party」が7月に復活しましたが、新しい場所0での再スタートを終えて、感想はいかがですか?


Nagi :
半年間お休みして、新しい場所での再開で、状況も色々変わりました。箱自体の構造、サウンドシステムについてもそうですし、新しいお客さんも随分増えました。いい形でスタートを切れましたが、まだまだ目指すところ、やりたいことがありますので、それに向かっていきたいです。8月から未成年も入場可能にします。お店自体はカフェの営業もしていますし、Block Partyは基本15:00-21:00のパーティ。長くなっても22:00には終了します。「東京都青少年の健全な育成に関する条例」で定められている深夜、というのが23:00からなので、それまでに帰宅してもらう、という考えです。お酒は勿論成人にしか売りません。パーティについて、クラブについて、それぞれが色々な考えやこだわりがあると思いますが、私自身が目指しているのが音楽が中心に回っているパーティでありつつ、特にアンダーグラウンドを意識している訳ではないので、自分が好きなこの音楽を、もっと若い段階で聴いて貰いたいとういシンプルな気持ちです。問題は、どうやって10代の人たちにその情報を伝達して、足を運んでもらうようにするか。この辺り含め、これから試行錯誤しつつ、進化させていきたいと思っています。

Kei :
 もうBlock Partyを好きで支えてくれる仲間とお客さんありきだなって改めて思いました。もちろん自分達のやりたい事もバランスをとりつつですけど。皆で作るパーティの一体感みたいのは言葉では伝わらないです。







●最近ようやく手に入れて思わず小躍りしてしまったレコードを1枚ずつ教えてください。(新譜でも中古でもマイブーム的な1枚でもなんでもokです)

Nagi :
ケイ君が最近7インチが好きなんです。確かによく考えると便利なんですよね。千葉から2時間電車に乗って現場に行く自分達にとって7インチはコンパクトだし、それに定番曲は短めにかけることも多いですしね。で、私もレコ屋の7インチ棚を見るようになったのですが、大定番の曲が180円なので購入して、あとで裏を聴いたらこれがすごく良くて、いい発見でした。でも何の曲かは教えたくないです、御免なさい。

Kei :
 まだまだ全然コレクションは無いんですけど、LPとか12インチにはない魅力に取り憑かれそうで危険です。既に曲自体は持っているのに、7インチにしかないジャケットとか、特に日本盤のカタカナ語表記にしびれてしまってお金持っていたら大人買いしてしまいそうで。。この間、Elevenのパーティで、〈茶澤音學館〉("Music&Community"をキーワードに三軒茶屋で開催されているパーティ)の皆さんが7インチコーナーを設けて売っていまして、小銭しかもう無いのにジャケがあまりにもステキだったのでThe Players Associationの“Turn The Music Up! ”をついつい買ってしまいました。笑 あと7インチに入ってるヴァージョンとか聴いたことない展開で、Touchの“Without You”とかTom Tom Clubの“おしゃべり魔女”とかビックリでした。ええ〜こんな音入っていたっけ? みたいな。また収録分数の感覚が短いので逆にエキサイティングなクイックプレイをする楽しみみたいのはありますよね。時間に余裕があったらひたすらDigしたいですね。いつまでも。








●最後に、いまさらながらで恐縮です・・・。前回のインタビューで聞き忘れたのですがDazzle Drumsという名前の由来は?

Nagi :
最初の12インチリリースが決まったときに、契約書を前にアーティスト名を決めなきゃ、ってなって。ケイ君がとにかくビート好きなので、「Drums」は使いたい、で、揃えでDが頭に付いていて、耳に残るから濁音の多い単語が良い、ということで、辞書でDの項目を最初からめくっていって、Dazzle、とあって、いいね、これにしよう。という感じでした。


Kei :
 意味も「輝く」とかですからいいかなって。自分達のお尻を叩く意味でもDJを含め毎回素晴らしい音を作っていかなきゃと思います。



●今回もありがとうございました!






---Dazzle Drums schedule---

7月28日(日) Harmony @ 渋谷 Cafe aprËs-midi
8月5日(月) Soul Addict @ 京都 collage
8月9日(金) 4 Rapture Summer Special @ 大阪 Union
8月11日(日) Block Party Summer 2013@ 渋谷 0
8月30日(金) Acid City -Release Party- @ 渋谷Vision
9月8日(日) Block Party @ 渋谷 0
9月21日(土) Ihatov Remains @ 札幌Provo

http://www.dazzledrums.com

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